家族に介護が必要となり、自身が仕事を休む必要がある人は、どのようにすればよいのでしょうか?
介護休業制度や介護休暇制度を利用することで、仕事と介護の両立を支援してくれる制度があります。
しかし、どのように申請すればよいのか、休業中の給与はどうなるのか、など不安や疑問も多いと思います。
この記事では、介護休業と介護休暇の取得方法と休業中の給与について解説します。
介護休業と介護休暇の違い
「介護休業」と「介護休暇」は、どちらも介護を必要とする家族をサポートするための制度ですが、内容や目的に違いがあります。
種類 | 期間 | 給与の有無 | 給付金 |
介護休業 | 最大2年間 | 無し | 有 |
介護休暇 | 最大10日間 | 基本的に有り (会社による) | 無し |
要点としては、介護休業は長期間、介護休暇は短期間の休みを取るためのものと理解してください。
ただし、詳細な制度や取り決めは勤務先の規定や法律に基づきますので、具体的な内容を確認する際は担当者に問い合わせると良いでしょう。
介護休業・介護休暇いずれも有給休暇とは区別されるため、有給日数が消費されることはありません。よって有給を使い果たしても制度を利用できます。
介護休業と介護休暇の併用はできませんのでご注意ください。
>>介護休業法(育児・介護休業、等の取得の促進等に関する法律)
介護休業とは?対象家族や期間、給付金について
介護休業とは、要介護状態にある対象家族を介護するために、労働者が一定期間休業することです。
対象家族は、配偶者(事実婚を含む)、父母、子、配偶者の父母、祖父母、兄弟姉妹、孫などです。
介護休業は、対象家族1人につき3回まで、通算93日まで取得できます。休業開始予定日の2週間前までに書面等により事業主に申し出る必要があります。
また、雇用保険の被保険者で一定の要件を満たす方は、介護休業期間中に休業開始時賃金月額の67%の介護休業給付金が支給されます。
介護休暇とは?対象家族や期間、給与について
介護休暇とは、要介護状態にある対象家族の介護や世話をするための休暇です。
介護休暇は、対象家族が1人の場合は年5日まで、2人以上の場合は年10日まで取得できます。
取得単位は1日または時間単位です。
書面の提出に限定されておらず、口頭での申し出も可能です。ただし、有給か無給かは会社の規定によります。
介護休業と介護休暇の違いと利用例
具体例として、以下のような場合にそれぞれどちらを利用するか考えてみましょう。
Aさんの例
- Aさんは、母親が脳梗塞で倒れて入院しました。退院後も自宅で介護が必要だと医師から言われました。Aさんは仕事をしながら母親の介護をすることが難しいと感じました。
- Aさんは、介護休業を取得することができます。Aさんは事前に会社に申し出て、母親を対象家族として登録します。Aさんは母親の退院後から93日間まで休業することができます。また、雇用保険の被保険者であれば、給付金も受け取ることができます。
Bさんの例
- Bさんは、父親が認知症で通院治療を受けています。Bさんは父親の通院付添いや薬の管理などを担当しています。Bさんは仕事と両立させるために、通院日や介護サービスの手続きなどに休みを取りたいと思いました。
- Bさんは、介護休暇を取得することができます。Bさんは事前に会社に申し出て、父親を対象家族として登録します。Bさんは1年間に5日まで休暇を取ることができます。また、時間単位での取得も可能です。ただし、休暇中の給与は会社の規定によります。
以上のように、介護休業と介護休暇は、それぞれ異なる条件や手続きがあります。自分の状況や希望に合わせて、適切な制度を利用することが大切です。
注意点 : 制度を利用できない人
一つは日雇い労働者。
もう一つは契約社員など雇用期間が決まっている労働者で、休業取得予定日から93日を経過した日から6ヶ月以内に雇用契約が終了する労働者は、どちらの制度も利用できません。
分かりにくいため別な表現をします。
以下の条件全てに当てはまる場合は制度利用ができません。
- パート、バイト、契約社員、派遣社員のどれか
- 〇月〇日までの雇用契約
- 介護休業スタートから9ヶ月以内に退職(契約満了)が決まっている
ですが、雇用契約が満了しないのであれば契約社員なども制度を利用できます。
※『9ヶ月』は厳密にはズレがありますが、概ねこの期間です。
雇用期間に定めのある正社員で、かつ休業9ヶ月後に雇用契約が満了する場合は制度利用できません。具体的には試用期間中など。
まとめ:自分の状況に合わせて適切な制度を利用しよう
まとめると、介護休業と介護休暇の取得方法と休業中の給与は以下のようになります。
介護休業
- 対象家族1人につき3回まで、通算93日まで休業可能
- 休業開始予定日の2週間前までに書面等により事業主に申し出る
- 雇用保険の被保険者であれば、給付金が支給される
介護休暇
- 介護休暇
- 対象家族が1人の場合は年5日まで、2人以上の場合は年10日まで休暇可能
- 取得単位は1日または時間単位
- 書面の提出に限定されず、口頭での申し出も可能
- 休暇中の給与は会社の規定による
家族に介護が必要となった場合、仕事を続けることは大変なことです。
しかし、介護休業制度や介護休暇制度を活用すれば、仕事と介護の両立を支援してくれる制度があります。
自分や家族の状況に応じて、適切な制度を利用してください。
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